相談支援専門員として知っておきたい!意思決定支援の理論と実践

相談支援専門員の皆様、日々の業務お疲れ様です。相談支援専門員は、障害のある方が地域で自分らしい生活を送れるよう、さまざまな支援を行います。その中でも、特に重要なのが「意思決定支援」です。

障害者制度改革以降、意思決定支援は法制度やガイドラインで整備され、相談支援専門員に求められる重要なスキルとなりました。

本記事では、意思決定支援のプロセスと、相談支援専門員が果たす役割について解説します。

参考資料として「意思決定支援の基本的考え方」という資料が厚生労働省のWebサイトで見ることができます。

意思決定支援とは?

意思決定支援とは、自己決定に困難を抱える方が、自分らしい生活を送れるよう、本人の意思を最大限尊重し、自己実現を支えることです。

2017年に厚生労働省が公表した「意思決定支援ガイドライン」では、意思決定支援のプロセスや、関係機関の連携などが示されています。

従来の「自立」のイメージ

これまでの「自立」は、「誰にも頼らず、自分の力だけで生活すること」というイメージが強くありました。しかし、現代社会においては、この考え方は現実的ではありません。

現代社会における「自立」の捉え方

現代社会においては、「自立」とは「必要な時に、必要な人に、必要なだけ頼ることができる状態」と捉えることができます。

  • 相互依存の考え方:
    • 現代社会は、様々なサービスや制度によって成り立っており、私たちはそれらに依存しながら生きています。
    • 例えば、電気、ガス、水道などのライフライン、交通機関、医療機関、教育機関など、私たちは多くの社会資源に依存しています。
    • つまり、完全に誰にも頼らずに生きることは不可能であり、むしろ、お互いに支え合い、助け合う「相互依存」の関係が重要になります。
  • 「依存」は悪いことではない:
    • 「依存」というと、ネガティブなイメージを持つ人もいるかもしれません。
    • しかし、適切な依存は、私たちにとって必要なものです。
    • 大切なのは、依存先が偏ったり、依存しすぎたりしないことです。
    • 複数の依存先を持つことで、私たちはより安定した生活を送ることができます。
  • 「自立」とは「依存先をコントロールできること」:
    • つまり、「自立」とは、「誰に、何を、どれくらい頼るかを自分で決められること」と言い換えることができます。
    • 自分の状況やニーズに合わせて、適切な支援やサービスを選択し、活用できる能力が重要になります。
  • 「孤立」は自立の阻害要因:
    • 「孤立」は、依存先を失い、必要な情報や支援から遮断された状態です。
    • 孤立は、心身の健康を害し、社会参加を阻害する要因となります。
    • つまり、孤立を防ぎ、社会とのつながりを維持することが、自立を支える上で重要になります。

相談支援専門員の役割

相談支援専門員は、障害のある方が地域で自立した生活を送れるよう、様々な支援を行います。その中で、現代社会における「自立」の捉え方を踏まえ、以下のような支援が求められます。

  • 社会資源の情報提供:
    • 利用者が、自分のニーズに合った社会資源を選択し、活用できるよう、情報提供を行います。
  • 関係機関との連携:
    • 利用者が、必要な支援やサービスをスムーズに受けられるよう、関係機関と連携し、支援体制を構築します。
  • エンパワメント:
    • 利用者が、自分の力で意思決定し、生活をコントロールできるよう、エンパワメント(力を引き出す支援)を行います。
  • 社会参加の促進:
    • 利用者が、地域社会とつながりを持ち、孤立しないよう、社会参加を促進します。

現代社会における「自立」は、一人で生きることではなく、周りの人や社会と繋がりながら、自分らしく生きることです。相談支援専門員は、そのためのサポートを行う専門家です。

意思決定支援のプロセス

意思決定支援は、以下の要素で構成されます。

  • 本人の判断能力のアセスメント:本人の状況を丁寧に評価します。
  • 支援が必要な場面の把握:日常生活、社会生活、環境など、様々な場面を考慮します。
  • 本人の意思の確認と推定:本人の言葉や行動、関係者からの情報を基に、意思を把握します。
  • 最善の利益の判断:メリット・デメリット、代替案などを検討し、本人にとって最善の選択を支援します。

相談支援専門員の役割

相談支援専門員は、情報提供や相談を通して、本人が自分で意思決定できるよう支援します。また、関係機関と連携し、本人の意思が尊重される環境を整えます。

成年後見制度との連携も重要な役割です。本人の意思決定と成年後見人の職務が矛盾しないよう、情報共有や連携を行います。

スキルアップのための研修と実践

意思決定支援のスキル向上には、研修と実践が不可欠です。

相談支援従事者養成研修では、ガイドラインに基づいた演習が行われます。また、事例検討会を通して、知識や経験を深めることも重要です。

まとめ

意思決定支援は、相談支援専門員にとって専門性が求められる重要な業務です。

本人の自己決定を支え、地域で自分らしい生活を送れるよう、専門性を高めていきましょう。

ひとりよがりにならず、いろいろな視点や価値観を持つ人たちと一緒に考え、試行錯誤を続けることが大事です。

キーパーソンは常に本人です。あなたにとって重要なことが、時に、私にとって重要ではないことを知っておきましょう。

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