『いいとこ探し』から始まる地域づくり~相談支援の未来と私たちの役割~

1. はじめに:研修参加の報告と、伝えたいこと

先日、大阪府の障害者相談支援従事者向けの現任研修にファシリテーターとして参加してきました。今回の研修は、現役の相談支援専門員の皆さんと深く交流し、日々の支援現場のリアルや、これからの地域づくりについて考える貴重な場となりました。

正直に言えば、私も学びや気づきの連続でした。何より強く感じたのは、「支援の質は、支援者同士のつながりや、その中で育まれる『いいとこ探し』の習慣によって高まる」ということです。地域全体の未来を考える時、私たち一人ひとりが持つ「強み」に目を向けることが、支援の第一歩になるのではないでしょうか。

今回はその気づきや課題、可能性について、皆さんと共有したいと思います。


2. 研修で大切にしたファシリテーションの視点

研修の中で意識したのは、「参加者の皆さんをねぎらい、良いところを見つけ合う」ことです。経験豊富な相談支援専門員の皆さんは、日々の現場で多くの困難に直面しながら、何とか支援を続けている方ばかり。そんな皆さんの「やさしさ」や「積み重ねてきた実践」を認め合う時間が、場の空気を一気に温かくしました。

実は、私たちが「褒め合う」ことには大きな力があります。それは、自己肯定感を高めるだけでなく、互いの学びを深め、次の行動へとつなげる原動力になるのです。ある参加者の方が、「自分の強みを見つめ直す時間になった」と話してくれたのも印象的でした。

こうした場を作ることで、本音で意見を言い合える雰囲気が生まれ、参加者の皆さんが自分の仕事に自信を持ち直すきっかけになったと感じています。グループスーパービジョン(GSV)が狙う「お互いの視点を通じた気づき」が、まさにそこにあったのです。


3. GSV(グループスーパービジョン)で見えた「ストレングス」の重要性

研修の冒頭では、「利用者の主訴と背景にある思い」「ストレングス(強み)」に着目したGSV(グループスーパービジョン)を行いました。これには大きな意味があります。問題点を追うだけではなく、相談支援専門員の視点で「エンパワメント」「権利擁護」「総合的な生活支援」「連携・チーム支援」「ニーズに基づく支援」「中立・公平性」「できていること」「強み」を見つけ、その延長線上で次の一歩(生活の質の向上)を考えられるのです。

例えば、ある利用者さんは、地域のサポートを通じて「自分の得意なこと」を再発見していました。その上で、エコマップやコミュニティの繋がりを活用しながら、支援の質を高めていく。この視点が、結果的に本人の自立や地域のつながりを強化することにつながるのです。

また、私たちが目指す「地域の連携」には、こうした個々の『強み』を共通のテーマとして育てることが必要だと痛感しました。


4. 現場の「閉塞感」と「リフレーミング」の可能性

支援の現場では、多くの相談員が「もうだめかもしれない」「やる気が持てない」と感じる瞬間もあります。誰もが経験する、心の疲れや閉塞感です。

でも、私はそうしたときに「リフレーミング」を活用することを提案したいです。物事を見る角度を少し変えるだけで、「今の状況は新しいチャレンジの始まりだ」と気づくことができるのです。

例えば、「支援の限界」を「支援の可能性を広げる入り口」と捉え直す。その一瞬で、前向きなエネルギーに変わる。これは、支援者自身の心の健康を守るだけでなく、何より利用者さんにとっても大きな意味を持ちます。


5. 深刻な現状と、私たちが向き合うべき倫理

研修中、参加者の方から、最近、営利目的の事業所の増加や「悪質なコンサルタント」の存在により、障がいのある方の情報が不適切に扱われているという問題提起がありました。

「自分の地域外から、不審な連絡が来るようになった」という具体的な声も聞かれ、本当に心を痛めました。

こうした問題は、私たちだけの力では解決できませんが、「人権と倫理を守る」という根本思想を持ちながら、地域で連携し続けることが何より重要だと感じます。


6. 地域で「旗振り役」を担う主任相談支援専門員の役割とネットワークの必要性

研修を通じて最も強く感じたのは、「地域でリーダーシップをとる主任相談支援専門員の重要性」です。孤立しない支援ネットワークをつくり、知識や経験を共有し合うことが、何よりも地域全体を支えます。

私たち相談支援の担い手が「旗振り役」となって、地域の行政や住民とも連携しながら、一人ひとりが支え合える社会を目指すことが大切です。そうすることで、地域の底力が引き出されていきます。


7. 終わりに:これからの地域と相談支援に向けて

この研修で得た学びを胸に、私はこれからの活動に一層の熱意を持って取り組んでいきたいと思います。地域の皆さんとも一緒に、支え合うしくみを作り、未来の「安心・希望のある地域」を築きたいです。

最後に、皆さんもご自身の地域で、「いいとこ探し」の視点を取り入れてみませんか?些細なことに目を向けることから、大きな変化が生まれるかもしれません。

あなたの地域では、どんな「いいとこ」がありますか?
一緒に考え、声をかけ合うことで、より良い社会を作りましょう。

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