枚方市に新たな支援の輪!『枚方市相談支援事業所連絡会(Hi-CoNet)』が始動!~地域を越えた連携で、支援の未来を拓き、社会のインフラを築く~

枚方市のセルフプラン率は全国一位
新緑が目にまぶしい季節となりました。
この度、枚方市の障害福祉行政、そして地域における相談支援体制の更なる充実を目指し、「枚方市相談支援事業所連絡会」が設立されました。
通称「Hi-CoNet(Hirakata Consultation support Network ハイコネット)」と呼ばれるこの新しい取り組みは、枚方市内の相談支援に関わる皆様にとってはもちろんのこと、近隣市町の相談支援連絡会、介護支援専門員の皆様や地域包括支援センターの皆様、そしてソーシャルワーカーをはじめとする全ての支援者の皆様にとっても、共感を呼び、新たな連携の可能性を拓くものと確信しております。
私たちは、計画相談を障害のある人の社会インフラとして整備したいという強い思いを抱いて、この連絡会の設立に至りました。これまでの委託相談支援事業所で働いてきた経験から、現在の相談支援体制が、利用者の皆様の多様なニーズに十分に応えられているとは言えない現状を痛感しております。このHi-CoNetの設立は、その課題を乗り越え、より強固で持続可能な支援体制を築くための、まさに重要な一歩となるでしょう。
Hi-CoNetとは?~枚方市から始まる、支援者のためのネットワーク~
Hi-CoNetは、枚方市内の相談支援事業所が相互に連携し、地域の障害児・障害者支援を円滑に進めるために情報共有を図り、支援の質を向上させることを目的としています。あわせて、枚方市自立支援協議会との連携を通じて、地域全体の相談支援体制の強化に寄与することも目指しています。
これは、特定の地域に限定された課題解決に留まらず、支援に携わる専門職が抱える共通の課題に対し、具体的な解決策を模索し、実践していくためのプラットフォームとなることを目指しています。
会員相互の対等な立場と専門性を尊重し、協議と合意形成を重視した民主的な運営を目指し、情報の共有と公開を基本とした透明性のある意思決定を行う方針です。
なぜ今、Hi-CoNetが必要なのか?~地域共通の課題への挑戦と人材の育成~
現在、多くの地域で、相談支援を取り巻く状況には共通の課題が存在します。
枚方市においても、計画相談の利用を希望しても対応できる事業所が不足し、やむを得ずセルフプランを利用せざるを得ない方が多いのが現状です。
これにより、定期的なモニタリングが実施されず、利用者のニーズ変化や新たな課題への対応が難しいケースも少なくありません。
また、基幹相談支援事業所や委託相談支援事業所だけでは、利用者への伴走支援に限界があることも認識されています。
こうした状況を改善し、相談支援専門員の人材不足を解消し、支援の質を向上させるためには、相談支援専門員間のネットワーク構築が有効であるとされています。
法定研修ではケアマネジメントの基礎知識は学べますが、実際の計画相談支援の実務にほとんど触れられていないという声も聞かれます。
これは、枚方市に限らず、多くの地域で支援者が抱える共通の悩みではないでしょうか。
大阪府の現状においても、初任者研修から現任研修の受講まで最大5年間空くことがあり、その間、相談支援業務に従事したばかりの専門員が不安や焦りを感じる期間となっていることが指摘されています。
Hi-CoNetは、これらの課題に真正面から向き合い、支援者一人ひとりが孤立することなく、共に学び、支え合う環境を創出することを目指します。そして、このネットワークを通じて、今後の人材獲得競争のなかで、相談支援事業に従事したいと思う人が増えてくれることを強く望んでいます。5年先、10年先にも豊富な人材が活躍できる場を形成し、その土台を築いていくことが、Hi-CoNetの重要な使命だと考えております。
Hi-CoNetの主な活動内容
- Hi-CoNetは、その目的達成のために以下の活動を行う予定です。
- •相談支援事業所間の情報共有および相互協力。
•枚方市自立支援協議会との連携および協働。
•基幹・委託相談支援事業所との連携強化。
•主任相談支援専門員の育成および研修の企画・実施。
•その他、障害児・障害者支援の質向上に寄与する活動

Hi-CoNetが目指す活動内容:専門性の向上と多機関連携、そして「S-1グランプリ」
Hi-CoNetは、前述の目的を達成するために、多岐にわたる活動を計画しています。
これらは、日々の業務における実践的な課題解決に繋がり、支援の質を高めるための具体的な取り組みです。
相談支援事業所間の情報共有及び相互協力:

困難事例や専門性の高いケースについて、互いに相談し助け合うことで、個々の負担を軽減することを目指します。
専門知識・技術の向上と人材育成:

主任相談支援専門員の育成及び研修の企画・実施:ネットワーク内で研修会や勉強会を企画・開催し、専門知識や技術の向上を図ります。これは、経験の浅い相談支援専門員の不安を軽減し、資質向上を図る上で極めて重要です。

「ゆるっとつながる勉強会」など、業務外の情報交換や事例検討の場も設けます。講師以外は任意参加で、準備に時間をかけず、誰か一人の業務に活かせる内容であれば良いという柔軟な形式を取ります。

そして、相談支援専門員の「好事例」を表彰する「S-1グランプリ」を企画しています。これは、今年活動した相談支援専門員の実践の中で「これは」という好事例をピックアップ(自薦、他薦を問わず)し、審査員にグランプリを決めてもらうものです。この活動は、多くの相談支援専門員のロールモデル形成に役立ち、内発的動機づけにつながると確信しております。優れた実践を共有し、専門職としての誇りを育むことで、支援の質を向上させ、将来にわたる人材確保にも貢献したいと考えています。
地域課題の抽出と解決策の検討:

ワーキングチームを立ち上げ、事例検討、地域課題、研修、マニュアル作成、書式改善、倫理綱領作成、社会資源データベース構築、法律相談などの具体的なテーマに取り組むことなどを検討しています。
地域資源の共有と社会資源データベースの作成:

ネットワーク内で地域資源情報を共有し、社会資源データベースを作成することで、情報検索の時間を短縮し、効率的な支援活動を可能にします。また、地域資源に関する知識を深めることで、相談支援専門員の専門性を高めます。
相談支援専門員の業務効率化への取り組み:

実践マニュアル作成、業務管理表の作成、訪問ルートの効率化、記録のICT活用など、日々の業務負担を軽減し、質の高い支援に注力できる環境を目指します。
相談支援専門員の専門性や役割を社会に発信し、地位向上を図る:

計画相談の存在を社会に広く知らしめ、その地位向上は人材確保や定着にもつながると考えています。
Hi-CoNetは、会員が主体的に参画し、相談支援の実務に活かせる学びと交流の場を創出することを運営方針として掲げています。
会員資格と責務 ~会則案から~
Hi-CoNetの会員は、枚方市内で相談支援事業を実施する事業所のうち、以下の条件を満たすものとされています。
•本会の目的および運営方針に賛同し、活動に積極的に協力する意志があること。
•他の会員との協調を重んじ、地域の相談支援体制の充実に貢献する姿勢があること。
また、会員は以下の責務を負うものとされています。
•Hi-CoNetの各種活動に積極的に参加すること。
•自立支援協議会及び基幹・委託相談支援事業所と連携し、地域支援体制の強化に努めること。
•相談支援専門員の育成および支援に協力すること。
運営の基本方針
本会は、持続可能かつ実効性のある運営を目指し、以下の基本方針に基づきます。
1.会員相互の対等な立場と専門性を尊重し、協議と合意形成を重視した民主的な運営を行うこと。
2.情報の共有と公開を基本とし、透明性のある意思決定を行うこと。
3.会員が主体的に参画し、相談支援の実務に活かせる学びと交流の場を創出すること。
4.枚方市自立支援協議会や関係機関と連携し、地域の相談支援体制の強化に資すること。
5.常に相談支援の質の向上を意識し、実践的かつ現場に即した取り組みを推進すること。
広がる連携の輪へ:他市町・地域包括支援センター・ソーシャルワーカーの皆様へ
Hi-CoNetが目指すのは、枚方市内に留まらない、より広域的な支援体制の強化です。
障害福祉分野の相談支援は、高齢者支援を担う地域包括支援センターや、複雑な複合課題を抱える方々を支援するソーシャルワーカーのネットワーク、そして近隣市町の相談支援連絡会と、密接に連携することで、その可能性を大きく広げることができます。
自立支援協議会は、個別の相談支援事例を通じて明らかになった地域の課題を共有し、地域のサービス基盤の整備を進める役割を担っており、その構成員には保健・医療、子育て支援、高齢者介護、行政機関、学校、企業など多岐にわたる関係者が含まれます。
地域包括支援センターの皆様へ
地域包括支援センターは、高齢者の皆様の様々な相談に対応され、時に障害福祉分野との連携が必要となるケースも少なくありません。Hi-CoNetが地域課題の抽出や社会資源の共有に取り組むことで、皆様の業務における多分野連携がよりスムーズになるよう努めてまいります。
大阪市では、複合課題に対応するため、地域包括支援センターを含む他施策分野との連携強化を重要な業務として位置付けています。
堺市でも、地域包括支援センター等の他機関との交流を連絡会の取り組み例として挙げています。
Hi-CoNetの活動を通じて、枚方市でもこのような分野横断的な連携を一層強化できると信じています。
ソーシャルワーカーの皆様へ
個別の支援事例を通じて地域の課題を抽出し、その解決に向けて取り組むことは、ソーシャルワーク実践の重要な部分です。Hi-CoNetの活動は、まさにその実践の場であり、主任相談支援専門員の育成や研修の企画・実施、事例検討会などを通じて、皆様と共に専門性の向上を図りたいと考えております。
日々の業務で抱える悩みや、専門知識・技術の向上といった共通の課題に対し、情報や経験を共有し、互いに支え合う場としてご活用いただければ幸いです。
大東市では、障害者総合支援協議会の中で、市職員や相談支援専門員、障害者就業・生活支援センター職員を対象にした事例検討を通じて、相談員のスキルアップ、実務者間のネットワーク強化、地域課題の集約を目指しています。このような取り組みは、ソーシャルワーカーの皆様にとっても有益な示唆を与えるでしょう。
近隣市町の相談支援連絡会の皆様へ
枚方市と同様に、人材不足や実務の課題に直面している地域も多いことと存じます。
例えば、大阪府内の先行市町村の取り組みとして、大阪市は相談支援専門員に対する専門的研修の実施やスーパーバイザーの派遣、指定相談支援事業所の新規開設勧奨、そして複合的な課題を抱える人への総合的な相談支援体制の充実事業を進めています。
堺市では、新任相談支援専門員の孤立化を防ぐための「相談支援サポート事業」を実施し、経験の浅い専門員が安心して学び、実践できる場を提供しています。
豊中市では、市と民間法人が共同運営する基幹相談支援センターを中心に、研修会やエリア会議の開催、学識経験者や弁護士によるアドバイザー事業を通じて相談支援事業所のバックアップを行っています。
また、豊中市障害相談支援ネットワーク「えん」を組織し、情報交換や困難事例の検討会、児童・高齢など他分野との合同会議も開催しています。
貝塚市では、特定事業所の拡充を進めるとともに、アンケート結果に基づく初任者ゼミや分野別研修を実施し、相談支援専門員のスキルアップを図っています。
大東市では、新しい協議会を立ち上げ、ワーキングチーム方式の導入により、当事者・家族の声が反映される仕組みづくりや、市内の全相談員を対象にしたネットワークを構築し、事例検討を通じて地域課題の抽出と解決に取り組んでいます。
※各地域の皆様>>情報に誤りなどがあれば、お知らせください。
•Hi-CoNetの取り組みや得られた知見、成功事例、あるいは課題を共有することで、互いの地域支援体制の強化に繋がる可能性を信じています。将来的には、地域を越えた情報交換や合同研修会の開催など、より広域的な連携の実現を目指してまいります。
Hi-CoNetは、枚方市における障害者支援の質を向上させ、より強固な地域支援体制を築くための大きな一歩となるでしょう。
そして、この取り組みが、枚方市に留まらず、地域全体の支援の質を高め、5年先、10年先にも相談支援の担い手が絶えない社会インフラを築くきっかけとなることを願っております。
設立発表と今後の展望
この新しい取り組みである「枚方市相談支援事業所連絡会」の設立は、令和7年6月11日(水)に開催された「サービス調整会議【拡大版】」の中で、トラマナ相談室の野川から発表しました。
当日は、社会福祉法人フォレストクラブ理事長の鶴幸一郎さんによる「ソーシャルワークから見たサービス等利用計画」に関する講義や、「並行援助について」をテーマとした事例検討(グループワーク)も行われました。
これらの内容も、Hi-CoNetの目指す専門性向上と情報共有の精神に沿ったものです。
Hi-CoNetの始動:第一回連絡会開催報告と今後の展望
6月27日(金)に、第一回枚方市相談支援事業所連絡会(Hi-CoNet)枚方市総合文化芸術センターのマルチスペースにて開催されました。
この記念すべき会合には、14名の相談支援専門員にご参加いただきました。
会合では、まず相談支援事業所でのLINE WORKSの活用方法について勉強会を実施しました。
これは、Hi-CoNetが目指す「相談支援事業所間の情報共有及び相互協力」や「相談支援専門員の育成および研修の企画・実施」、「ゆるっとつながる勉強会」といった活動の一環です。
後半のグループワークでは、各事業所でのICT活用についての情報交換が行われ、相談支援専門員同士の交流の機会となりました。
このような活動は、相談支援専門員が日々の業務で得た知識や経験を共有し、困難事例や専門性の高いケースについて互いに相談し助け合うことで、個々の負担軽減や専門知識・技術の向上を図るというネットワーク設立の目的と合致しています。
参加者からは「あっという間に時間が過ぎてしまい、話し足りない雰囲気の中で解散となりました」という声が聞かれ、活発な交流ができたことが伺えます。
今後のHi-CoNetの活動は、さらに拡大していく予定です。
次回のお知らせ
•次回は7月16日(水)14時から16時30分まで、輝きプラザきらら5階セミナー室1にて実施される予定です。
前半は「そろそろ生成AIとの付き合い方を考えてみませんか?」、後半はグループワークという流れが予定されており、これもHi-CoNetの「相談支援定例会」や「ゆるっとつながる勉強会」の取り組みに沿うものです。
•8月には懇親会を企画しており、相談支援専門員間の「交流会、グループワークWT」を通じた関係強化を目指します。
•10月頃には総会を実施する方向で検討が進められています。総会は「年1回」開催されることが会則案に示されており、Hi-CoNetの運営における重要な意思決定の場となります。
ぜひ、多くの方々にご参加いただき、今後の連携についてご意見を賜ることができれば幸いです。
関係機関の皆様の積極的なご参加とご協力を心よりお待ちしております。
まとめ
Hi-CoNetは、枚方市の相談支援体制における喫緊の課題に対応し、相談支援専門員間の連携強化と専門性向上を目的とした非常に重要な取り組みです。
トラマナ相談室 代表 野川の説明動画をご覧いただき、この新たなネットワークへのご理解とご協力を賜れば幸いです。